2015年2月8日(日)にTBSで放送された「夢の扉」で、認知症改善の効果が期待されるプラズマローゲンの研究が紹介されました。
いまだに根本的な治療法や薬が確立されていない認知症。
10年後には5人に1人が認知症になると言われている今、治療法の確立が急がれています。
そんな中、九州大学の藤野教授が長年の研究により、認知症に対するプラズマローゲンの効果が明らかになってきました。
今回はその番組内容をまとめました。
様々な生活習慣病の原因となる脳疲労とは?
藤野教授は自身の学説で、ストレスによる脳に異常をきたす脳疲労が、メタボや糖尿病、うつ病などの現代病を引き起こす原因となることを説明しています。
ストレスを感じると脳内に酸化物質が発生し、神経細胞を傷つけることで脳疲労となります。
その脳疲労が認知症を引き起こしていると藤野教授は考えました。
そこで注目したのがプラズマローゲンです。
プラズマローゲンとは、人間や動物、魚介類にも存在する自然物質で、精製や抽出が困難で、まだ謎な部分も多いとされています。
海外の研究では、認知症の患者の脳内ではプラズマローゲンが減少しているということも明らかにされていましたが、それが認知症の発症原因ではないと考えられていました。
しかし、藤野教授はプラズマローゲンこそが認知症改善のカギになると考えました。
プラズマローゲンと認知症の関係?
まず、藤野教授は自然界の物質からプラズマローゲンを抽出精製する作業から開始。
プラズマローゲンは壊れやすく熱に弱いため、その作業は世界でも困難な壁となっていました。
そんな中、藤野教授の同期である馬渡博士の協力のもと、世界で初めてプラズマローゲンの検出に成功しました。
まずは、数が多く入手吸いやすい鶏肉から、次にホタテから、高純度なプラズマローゲンを簡便に抽出・精製することに成功しました。
これにより、ついにプラズマローゲンの動物実験・人の臨床試験への道が開けたのです。
まずはラットを使った実験です。
プラズマローゲンを1ヶ月投与した正常なラットと投与しなかった正常なラットで、記憶力の向上が見られるか比較する実験が行われました。
実験内容は、ラットを水の中で何度か泳がせ、水面に隠れている透明の台にたどり着く時間がどれだけ短縮されるかというもの。
プラズマローゲンを投与しなかったラットが右往左往しながらやっと24秒かかってたどり着いたのに対し、投与した方のラットは一直線に台に向かい、わずか7秒でたどり着きました。
その後、いよいよ人への臨床試験が開始されました。
実際に認知症患者に摂取してもらい、その効果を確認。
番組では効果が顕著に表れた2名の方が紹介されていました。
1人目は、認知症により記憶障害や幻覚に悩まされているスマ子さん(81)。
藤野教授が初めて面会したときは、表情も暗く、質問にも「はい」と一言答えるだけだったのが、
プラズマローゲンを摂取し始めてから2週間後、担当の介護スタッフも驚くような変化が現れました。
まず、最初の面会時よりも、表情がずいぶん明るくなり言葉数が増えました。
さらに、藤野教授のことも認識できており、帰りに教授の送迎を気にするなどの気遣いまでできるようになったのです。
2人目は、認知症になって3年のキヨシさん(73)。
キヨシさんの場合は、近年明らかになった意味性認知症という病気で、主な症状は言葉の意味が分からなくなり、言葉自体が脳から消え去ってしまうというものでした。
キヨシさんには、認知機能のテストを受けてもらい、プラズマローゲン摂取前後の結果を比較しました。
その結果、プラズマローゲン摂取前は30点満点中18点だったものが、摂取後は23点と大幅アップ。
病状のレベルで見ると、中期から軽度レベルに回復という驚きの結果に。
今回の臨床試験は、アルツハイマー型認知症患者40人に実施し、5割が顕著な改善を見せ、残り5割が現状維持という希望的な結果となりました。
藤野教授の研究はまだ始まったばかり。今後さらなる発展が期待されます。