認知症の初期症状とは?初期症状かどうかをチェックする3つのポイント

2016.11.7

認知症と老人ぼけとは、どこがちがうのでしょうか。老人ぼけは便利なことばですが、生理的な老化現象による物忘れから、認知症までもが含まれ、誤解をまねきやすい表現です。

  一方、認知症は「正常に獲得された知的機能が、後天的な脳の障害により低下し、日常生活に大きな支障をきたしている状態」と定義され、生理的な老化現象とは異なる、明らかに病的な状態(=病気)であると考えてください。

認知症とはどんな病気か

認知症をひきおこす原因(病気)はたくさんありますが、老年期に生ずる認知症の多くは、アルツハイマー型老年(がたろうねん)認知症(「アルツハイマー病」)と脳血管性(のうけっかんせい)認知症(「脳血管性認知症」)、あるいは両者の合併した混合性(こんごうせい)認知症がそのほとんどを占めています。

  認知症のもっとも中心的な症状は、物忘れですが、認知症=物忘れではありません。人間の脳は知性だけでなく、精神や理性をもつかさどっています。そして、認知症は、脳が広範囲に障害され、それが回復できなくなった状態を意味しています。ですから、「認知症」は単なる知性(記憶に代表される知的能力)の低下にとどまらず、理性や精神の障害をもひきおこします。

  しかし、さまざまな認知症の症状のなかでも物忘(ものわす)れ(記銘力障害(きめいりょくしょうがい)、健忘(けんぼう))は必ずおこる症状といえるでしょう。

認知症で生ずる物忘れとは

  認知症で生ずる物忘れと、ふつうの老化現象とはどこがちがうのでしょうか。初期にはこれを見分けることは困難ですが、認知症がある程度まで進行すると見分けることはそれほどむずかしくはありません。以下の3つのポイントを指標にして、当てはまる症状がある場合は認知症の初期症状に当てはまるかもしれません。一度チェックしてみはいかがでしょうか?

 

①経験自体を忘れる

 認知症のお年寄りの物忘れは、比較的最近の記憶の障害から始まります。昨日にあった出来事、さっき言ったこと・言われたこと・頼まれたこと、たいせつな約束など、その具体的内容の一部にとどまらず「そういうことがあった」こと(経験自体)を、すっかり忘れてしまうのです。

  つまり記憶を保てる時間が非常に短くなり、そのときはしっかり覚えたつもりでも数分たつと忘れてしまいます。

  食事がすんだばかりなのに、「ごはんはまだですか?」と言ったりするのは、認知症の記憶障害の一例です。メニューの一部が思い出せない、出会った人の顔はわかるが名前が出てこないといった程度の物忘れとは、区別しなければなりません。こういうときのお年寄りの反応は「そんなことは聞いてない」「言った覚えはない」ということがよくあります。本人にとっては、本当に「身に覚えのないこと」と感じていることが少なくありません。

 

②失見当(しつけんとう)

 時間・場所・人物に関する記憶を見当識(けんとうしき)といいます。これらの記憶は日常生活には欠かせないものですが、認知症が進行すると、時間・場所・人物の順番で見当識が失われていきます(失見当(しつけんとう))。日付があやしくなり、月日の感覚が大きくずれるようになります。その人なら当然知っているはずの場所(近所や自宅の中など)で迷子になったり、自宅にいるのに「帰ります」と言い出すこともあります。記憶障害がかなり進行すると、息子や娘を自分の兄弟姉妹と、孫を自分の子どもなどとまちがって答えることがあります。

 

③物忘れの自覚がない

 認知症のお年寄りが、自らの物忘れの程度を正確に自覚することは(病初期を除くと)ほとんどありません。認知症の人に物忘れの自覚が乏しいことは、家族にとっては扱いにくいことかもしれません。しかし、自覚がないことは、認知症になっても人生に絶望せずに生きていこうとする、人間の心理的な防衛機制が作用しているようです。

物忘れ以外の症状

  物忘れ以外の症状についても簡単にふれておきます。認知症のお年寄りはしばしば言語を介するコミュニケーションが困難となります。話の了解が悪くなり、自分の意志をことばでうまく伝えることができません。こういった言語の障害を失語(しつご)と呼びます。ちぐはぐな応答や語句の言いまちがいが頻繁(ひんぱん)になる、簡単な指示が理解できない、「あれ」「これ」などの代名詞を多用する、著しく発語が減少するなどの症状がみられます。

  運動障害がなく、どのような行為を行なうべきか十分理解しているのに要求された行動をとれない状態を失行(しっこう)と呼んでいます。たとえば、洋服をきちんと着ることができない、鍵(かぎ)の開け方がわからない、ガスのつけ方がわからない、排泄(はいせつ)の後始末(あとしまつ)ができないなどがあげられます。

  そのほかにも、物は見えているのに見たものが何であるかわからない状態である失認(しつにん)と呼ばれる大脳の高次機能の障害もみられます。

  性格の変化は、病気の症状としては見過ごされやすいものの1つです。多くの患者さんに共通しているのは無関心(むかんしん)です。趣味に関心を示さなくなったぐらいの軽度の関心の低下から、入浴や着替えをしなくても平気でいたりする自己身辺への無関心におよぶものまで、その程度はさまざまです。

  こうした無関心を背景に、もともとの性格が強調されることがあります。節約家だった人が、お金に対して非常に執着心が強くなったり、疑い深い人が配偶者に病的な嫉妬心(しっとしん)を抱いたり、多少抑制がきかなくなった形で現われるこれらの性格変化は、病気の症状というよりは、その人の性格の延長線上にあるものと誤解されがちです。

  物忘れを中心にいくつかの症状を説明してきましたが、これらは認知症のさまざまな症状のなかでも、治らない部分、中核症状(ちゅうかくしょうじょう)と呼ばれているものです。ただし、必ずしもすべてがでそろうわけではありません。物忘れを中心として、失語や失行が加わることもありますし、物忘れと軽度の性格変化だけで穏やかに認知症が進行するケースもあり、病気の展開のしかたは個人差が大きく、病気の種類や発症年齢などによっても異なります。

いわゆる問題行動について

  認知症には中核症状に加えて、種々の精神症状や行動異常(問題行動)が随伴していることが少なくありません。物盗(ものと)られ妄想(もうそう)、被害妄想(ひがいもうそう)、徘徊(はいかい)、興奮(こうふん)、不眠(ふみん)・夜間(やかん)せん妄(もう)などがあげられます。しかし、すべてが出現するわけではありませんし、病気の進行具合により問題点が変化するのがふつうです。これらのなかには、知的機能が低下しながらも、なんとか現実のなかで生きていこうとするお年寄りの努力の現われや心理的な安定を確保するための自己防衛的な反応も含まれています。

  問題行動があれば、それをすぐに止めさせるのではなく、そのまま見守ることができないかというところから考える必要があります。

 

 

出典:家庭医学館

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認知症の初期症状とは?初期症状かどうかをチェックする3つのポイント
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認知症の初期症状かどうかをチェックする3つのポイントについて記載しています。当てはまる症状がある場合は認知症の初期症状に当てはまるかもしれません。一度チェックしてみはいかがでしょうか?
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