認知症の中で5割を占める、アルツハイマー型認知症。
アルツハイマー型認知症は、脳にアミロイドβというたんぱく質がたまって神経細胞が死んでいくことが原因で起こるとされていますが、その原因については明確には分かっていません。
ただ、これまでの研究で、食事や運動など生活を取り巻く環境が、アルツハイマー型認知症の発症に大きく影響していることが分かってきました。
日常生活を見直し、改善することで、認知症の予防につながります。
今回は、認知症の予防について、食生活・生活習慣・運動・脳トレ・睡眠の5つの項目に分けて見ていきたいと思います。
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【食生活】野菜・果物・魚をバランス良く食べましょう
認知症予防には、ビタミンC、E、βカロチン、DHA、EPA、ポリフェノールが効果的と言われています。
また、サプリメントでの摂取では予防効果が十分に得られない場合があるため、食物での摂取が望ましいです。
では、それぞれどんな食物で摂取できるのかを見ていきましょう。
ビタミンC | ピーマン、アセロラジュース、キウイ、いちご、ブロッコリー、ゴーヤなど |
ビタミンE | 魚卵(すじこ、いくらなど)、あゆ、モロヘイヤ、かぼちゃなど |
βカロチン | しそ、にんじん、ほうれん草、春菊など |
DHA・EPA | マグロ、マイワシ、サンマ、サバ、ブリなど |
この表からも分かるように、認知症予防には、野菜や果物、魚などをバランスよく摂取することが大切です。
反対に、コレステロールが多く含まれる食品は、認知機能の低下に影響するため、控えるようにしましょう。
【生活習慣】糖尿病と喫煙・飲酒に注意
実は、糖尿病やその予備軍の人が、アルツハイマー型認知症を発症するリスクは、健康な人の4.6倍という調査結果があります。
その理由は明確には分かっていませんが、高血糖が続くと認知症につながりやすいとされています。
糖尿病とまではいかなくても、血糖値が高い状態は良くないので、気を付けるようにしましょう。
また、喫煙と過度の飲酒は健康にもよくありませんが、認知症にも影響を及ぼすとも言われています。
海外の研究報告では、喫煙と飲酒が重なった場合、脳の認知機能の低下が36%も早まることが分かっています。
【運動】ウォーキングや軽いジョギングが効果的
週3~4回、30分程度の有酸素運動が認知症防止に効果的と言われています。
有酸素運動とは、ウォーキングや軽いジョギングなどで、脳の活性化に効果的とされています。
1日に3キロ以上歩いている人に比べて、400メートル以下しか歩かない人は、認知症発症の危険度が2.2倍だったという研究結果もあります。
長く続けることで予防効果につながるので、ストレスなく楽しんでできる範囲で行いましょう。
【脳トレ】日常生活の工夫で脳を活性化
認知症の予防に欠かせないのが、脳を働かせたり、刺激を与えたりすることです。
アメリカの研究では、「新聞を読む」「雑誌を読む」「ゲームをする」「博物館へ行く」などのことを日常よく行っている人は、認知症を発症しにくいことが分かっています。
このように、日常生活の中で少し変化を加えたり工夫をしたりすることで脳を活性化し、認知症の予防につなげることができます。
認知症を発症する前段階で落ちてくる脳の機能が、エピソード記憶、注意分割機能、計画力の3つです。
この3つの機能を日常的に鍛えることで、認知症を予防することが出来ます。
では、それぞれの働きと鍛え方を見ていきましょう。
エピソード記憶 | 時間や場所、その時の感情が含まれるイベントの記憶。 |
・2日遅れ、3日遅れで日記をつける ・レシートを見ないで、記憶を頼りに家計簿をつける |
注意分割機能 | 2つ以上のことに同時に注意を配る機能。 |
・複数の人と会話をする ・料理を作るときに、同時進行で何品か作る ・歌を歌いながら掃除をする |
計画力 | 先を考え、目的を達成するために必要な行動を計画する機能。 |
・旅行の計画を立てる ・囲碁や将棋など、頭を使うゲームをする |
【睡眠】質の良い睡眠で脳の老廃物を除去
睡眠中の脳は全面的に休んでいるわけではなく、必要な栄養素を取り込んだり、記憶を整理したりするなど、さまざまな活動をしています。
そのような活動の中に、老廃物の排出があります。
この働きで、認知症の原因となると言われているβアミロイドも排出されます。
こういう理由から、質の良い睡眠をとることで認知症の予防につながるのです。
実際に、睡眠が十分とれている人は睡眠不足の人よりも認知症になりにくいというデータがあります。
また、国立精神神経医療センターの研究では、30分程度の昼寝をするとアルツハイマーの発症リスクが5分の1になることも分かっています。
認知症予防には、早めの対策がとても重要です。
どれも簡単に実践できるものなので、いつまでも元気に生き生きと過ごすために、ぜひ実践してみてください。